|
一般的にはどの家庭においても、それぞれの節々に家族を始め親類、近所、友人同志で祝いをする習慣が続いている。衣服を改め、すがすがしい気持ちで入卒式に参列するのが常である。やはり衣服、帽子、鞄が新しくなる事により、心が引き締まる思いがするものである。
さて、入卒式に参加する母親も、当然のことながら礼服に身を包み、子供のはれ姿を見ることを無上の喜びとしている。衣服で身を縛ることが、心を縛ることになる。縛られることがより一層の喜びを呼び込んでくる。着物を着ることがいつもと違った気持ちにさせ、しぐさや立ち居振る舞いまで変わり、言葉つきまで変えてしまう。
ハレの場とは、神との対面の場でもある。入学できたのも、卒業が叶ったのも”お陰さま”なのである。”お陰さまとは、神仏のたすけ、おめぐみがあったの意である。
だから、まず氏神様にご報告と感謝の礼を述べることが常であった。神との対面は、ハレ着でなければご利益ないし、自分の心が通じないと考えたのである。それぐらい衣服には呪的要素が強かった。
しきたりの文化論 −衣き心− 著者 北原 秀猛 より抜粋
|